地震の第一報は、米テキサス州ヒューストンで聞きました。現地時間で3月10日の午前0時頃。JAXA(宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙センターから、電話で「大きな地震が起きた」と知らされました。

<strong>宇宙飛行士 若田光一</strong>●1963年、埼玉県生まれ。九州大学大学院工学府修了。93年、NASA(米航空宇宙局)ミッションスペシャリスト(MS)認定。宇宙飛行3度(96年、2000年、09年)。11年、ISS(国際宇宙ステーション)第39次長期滞在クルーに。
宇宙飛行士 若田光一●1963年、埼玉県生まれ。九州大学大学院工学府修了。93年、NASA(米航空宇宙局)ミッションスペシャリスト(MS)認定。宇宙飛行3度(96年、2000年、09年)。11年、ISS(国際宇宙ステーション)第39次長期滞在クルーに。

職員は建物の外に避難し、全員無事だと聞き安心したのですが、埼玉県の家族とすぐには電話が繋がらず、メールでようやく無事を確認しました。が、その後の報道に触れるにつれ、被害の甚大さに慄然としました。

アメリカでも、この地震は各局のニュースで連日取り上げられています。津波の被害の様子や、被災者の方々の生々しい映像が伝えられ、福島原発の被災も大々的に報道されています。まるで日本にいて、自国のニュースを見ているようでした。

そんななかで、各国の宇宙飛行士の仲間や宇宙開発の関係者など多くの方から「家族は大丈夫か」「筑波の皆は元気か」と、メールなどで声をかけていただきました。「自分に何かできることはないか」と尋ねてくれる方もたくさんいました。

「被災者に救援の手を差し伸べたい」「震災からの復興を支援したい」。それは、世界がひとつになって、日本に応援メッセージを送っているかのようにさえ感じられました。

アメリカでの報道では、これほどの緊急事態に陥りながら、略奪行為や暴動もなく、秩序を重んじて災害に対処する日本国民の姿が高く評価されています。皆が協力し、助け合う姿に感銘を覚えるという報道がとても多いのです。

私は、これが世界に誇れる日本人の国民性だと思います。互いに相手を「思いやる」気持ちが強く、いざとなれば皆がそれに根ざした行動がとれる。これは素晴らしいことです。