危機が起きたときには、その社会の民度が露わになります。これほどの震災に見舞われても略奪行為が一切起きていないことに、世界中が感心しています。日本人のひたむきに立ち向かう姿を見て、わがことのように世界中の人々が気にかけていることを知ると、心が温かくなります。被災した方々にそのことをもっと知っていただきたいのです。
この災害で私たちが確認できたことがいくつかあります。一つは、家族や親類への告知から、一人ひとりがこんなにも愛する人を持っていることに気づいたこと。また、何も起きない当たり前の日常が、かくもありがたいものであることをしみじみと実感できたこと。そして、私たちが自分の生活を守るだけでなく人間としての義務について考える機会ができたということです。今こそ、退職した元気な老人たちにボランティアとして立ち上がれと言いたい。人々の役に立てることの素晴らしさを感じて、心が奮い立つと思います。
もし仮に私が総理大臣なら、復興の過程で、ソーラー、風力、波など分散型の自然エネルギー政策を強力に推し進めると思います。夜間は蓄電して融通しあうのです。また支援社会の構築にも取り組みたい。今は人心をまとめられる好機。つらい体験をした代償として、多くの人々を幸せにする復興事業を実現しなければなりません。
(鷹野 晃=撮影)