【田原】ほかに、地球で走らせるときと違う点はありますか。
【袴田】ロケットに載せるので振動にも耐えなくてはいけないし、宇宙は強い放射線が飛び交っているので、電子機器がやられないように対策をする必要もあります。そのあたりはすでに実験済みです。
【田原】資料によると、今年1月に中間賞をもらったそうですね。
【袴田】中間賞は、参加チームの中で技術が進んでいるチームに対して贈られる賞です。今回は5チームが受賞。私たちは浜松の中田島砂丘で500メートル走らせる実験をして、モビリティ賞をもらいました。
【田原】賞金は出るのですか。
【袴田】はい、50万ドルです。だいたい6000万円ぐらいですね。
【田原】その賞金は、資金の足しになりますね。HAKUTOとして必要な費用は、もう集まりましたか。
【袴田】じつはまだです。いま水面下でいくつか大きな案件が動いているので目標はクリアできそうですが、日本のロボット技術を世界の舞台でアピールするために、より多くの方や企業さんに応援していただけたらいいなと考えています。
【田原】資金は多ければ多いほうがいいわけですね。
【袴田】今回、ミニマムのミッションは500メートル以上走って動画を撮ることですが、資金が集まれば、縦穴の探査をやりたいと考えています。じつは最近、日本の研究者によって月面に縦穴が開いていることが明らかになりました。縦穴には横に洞窟が走っていて、洞窟は将来、人間が住む基地に適しているのではないかといわれています。その探索をするのに、プラス10億円くらいかかる。スポンサー次第ですが、今回そこまでやるプランも立てています。