「いつ介護されてもいいように」脱毛
「先生、本当のことを教えてください。日本人の下半身脱毛の比率はどんな具合ですか」
「15年前は、下半身つるつるの患者さんが診察台に乗ると、看護婦さんの間にちょっとしたざわめきが起こりました。けれど、今は普通のこと。誰も驚きませんね。全体の割合だと、年代に関係なく、つるつる10%、全くケアしていない人が10%ですね。あとの80%の女性はしっかりケアしています」(アヴェニューウィメンズクリニック医師・福山千代子さん)
どうやら、なにもしていないほうがマイノリティのようである。しかも、年代無関係ときた。
夏にハイレグビキニを着たい、Tバックをはきたい、若い恋人ができたら恥ずかしい、という若い女子の気持ちはわかる。しかし、先生は「下半身脱毛は、年配の女性に最近人気です」ときっぱり。
「60代後半で、つるっつるの方ももちろんいます」
レーザー脱毛は、その施術が、熱い、冷たい、痛い、と聞く。なぜ、痛い思いまでして、上の層がつるっつるにするのか。なにか理由があるはずだ。
さらに調べたところ、驚愕の事実が浮かび上がった。
つるつるの理由は、ファッションではなく、介護されることを視野に入れての脱毛だったのである。
どういうことか?
「実はね……」という感じで彼女たちが告白してくれたのは、下半身つるつるの目的のひとつは「いつか介護される日のために」というものだ。人生も残りの方が少なくなってきた筆者を含むアラフィフ以上の世代にとって、「いつか介護される自分」はもはや遠い未来の話ではない。
年を重ねると、ボディも古くなる。腸だって古くなるだろう。頑張ってメンテナンスしても、赤ちゃんのようないい香りは発しない。だんだん、筋肉も弱りしまりも悪くなり下へ下へと、ぶよついてくる。そうなれば、いろんな穴から、ムレてあまり好ましくないにおいもしてくるのが人間というものだろう。
つるつるとはいわなくとも、タンポポ程度の毛なら、将来的に介護で若い男性スタッフなどにお世話になるときもキレイにしてもらえそうだし、現時点でも婦人科特有の疾患も早期発見することができるし、生理中の不快感も減る、雑菌や下着によるムレ・においも軽減する、というからいいことばかりだ。
どうせやるなら、痛みに耐えられる今のうちに、また白毛が出てくる前(レーザーは黒い色に反応するようで、白毛の場合は、1本1本毛根を焼かなければならない)に。ということで、いつ脱毛するか? 「今でしょ」となるわけである。下半身永久脱毛を決断する女子は、今後、アラフィフ世代以上にも広まっていくというのが筆者の読みだ。