モンスターペアレントと普通の親の「境界線」

▼ケース1

あなたは学級担任です。黒板の文字について親から次のような要求が出ました(なお、客観的に見ても、一般的な大きさ、見やすさで書いているとします)。

親A「黒板の文字はもっと大きく書くようにしてください」
親B「先生の黒板の文字は小さくて見えづらいので、もっと大きく書くようにしてください」
親C「うちの子どもは目が悪く、黒板の字が見えづらいようなので、文字を大きく書くようにしてください」
親D「うちの子どもは目が悪く、黒板の字が見えづらいようなので、黒板の字を大きく書くようにするか、席を前にしてください」

A~Dは本質的には同じ要求です。しかし、印象がかなり違います。

Aは、親が「こうあるべき論」を述べているだけで、そう考える理由もわかりません。

Bは、変えて欲しい理由を述べていますが、一般論としての主張に聞こえます。「我が子独自の困り感」が見えません。したがって実際は普通の大きさで書いている場合、変な要求に聞こえます。

Cは、一般論としてではなく、我が子の困っている点と具体策として変えて欲しい点を述べています。

Dは、文字を大きくする必要のない子どももいるだろうから、相手は変わらなくていいので、我が子の方を動かしてもらえればという選択肢も出しています。

A→Dとなるにしたがって、要求が受け容れられやすくなります。

Aのような要求の仕方を続けると、何に本当に困っているのかが学校側に伝わらず、主張を通すだけの「モンスター」扱いになっていってしまう可能性があります。

Bは理由がある点ではいいのですが、「なぜわざわざそこまで」というようにとられかねません。

Cは、「我が子の困っている点」が具体的に述べられています。そこがわかっているため、学校側は前向きに何かしらの対策をうてます。

Dは、「困っている我が子自身の方を変える」という選択肢も挙げている点で、学校側がより受け容れやすくなります。

以上、わかりやすい例を挙げてみましたが、他の要求でも考え方の基本は同じです。

同じ要求でも伝え方ひとつで、学校側の受け取り方、対応はかなり変わります。今の学校は、親のどんな要求に対してもかなり真剣に対応してくれますが、その時に理不尽な要求と思われている可能性もあります。ポイントは、ケース2で後述する「子どもの困り感」と、そこから始まる「正当な理由」がきちんと伝わっているかどうかです。