小さくても集まれば大手に勝てる

現在、ジャーブネットの会員企業320社の販売棟数は累計11万棟を超え、12年連続で業界ナンバーワンの地位となり、日本最大のホームビルダー集団との評価を得ている。「価格や工法で業界に一石を投じた。大手にとっても無視できない勢力になっています」(関氏)。

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(上)工務店の数は約10年で50%減(下)加盟店の自主性を尊重! 緩やかな連帯で12年連続No.1

ジャーブネットでは、さらに会員企業を家業から企業へ変える経営基盤をつくり上げるため、「永代ビルダー塾」や成功した会員企業の社長を講師とする「師範代塾」などを開催し、さらなる会員企業のサポートを強めている。

「大手に押されがちな、工務店の存在意義を世の中に認めてもらうためには、みんなが成功しなければダメなんです」

そう力説する宮沢氏。そこには若いころに大工という立場で、多くの辛酸をなめた経験が大きく影響している。

「私は十代のころから、下請け、孫請けもやってきました。さらに営繕、今でいえばリフォームですが、増改築、修繕といいながら、ドブ掃除やトイレの詰まりの修理など言われるままに何でもやりました。昔はそんな営繕業をやって、大手さんについていくしかなかったんです」

宮沢氏自身も小さな工務店であったころ、大手の全国ブランドに頼ろうとしたこともあった。大手フランチャイズに加盟しようとしたが、会社の財務内容が悪く、撥ねられたこともある。1人では大手に敵わないことを痛感する毎日だった。

「このままじゃいけない。1人で騒いでいても影響力はない。でも、みんなで成功事例をつくれば、注目してもらえるかもしれない。ジャーブネットを立ち上げたときも最初は犬の遠吠えでした。頑固な工務店の方に『何言ってやがるんだ、この若造が』と言われて。ケンカして、二度と会うかってこともありました」

リバティホームの三浦氏も当初はジャーブネットに疑心暗鬼だったという。

「でも話を聞き宮沢社長の人柄に触れていくにつれ、この人だったら信用できると思って入会しました。当時、私は30代初めで向上心を持って、どんどん前に進みたいという気持ちもありました。宮沢社長も30代半ば。こういう人が身近にいるんだと非常に刺激になりました」

宮沢氏はアキュラシステムで工務店の存在価値を高め、ジャーブネットにより「小さくても集まって研鑽すれば、大手に勝てる」ことを証明した。ただ、本人は周囲の評判を横目に暇があれば家づくりのことばかり考えている。今も根っからの大工であることに変わりはない。

(本野克佳、飯塚 輝=撮影)
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