「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」は全く違う。職場の同僚の発言に「?」となったら、迷わず検査を受けさせよう。「自分はボケてない」との思い込みが「手遅れ」を招くのだ。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/16181)

人付き合いがなく趣味がない人もなりやすい

特に問題が見つからなくても、安心してはいけない。3人に1人、4人に1人が認知症になる時代だ。ならば予防はできないのだろうか。

「認知症は、生活習慣病が絡んでいることがわかってきた」と国立長寿医療研究センター内科総合診療部長で老年病専門医の遠藤英俊氏は指摘する。

国立長寿医療研究センター 内科総合診療部長 遠藤英俊氏

「高血圧はそうでない人に比べて約3倍、糖尿病は約2倍アルツハイマー型認知症になりやすいと言われています。高齢で発症しやすくなっているうえに生活習慣病が重なれば、認知症のリスクは高くなります。生活習慣病の予防・治療が結果的に認知症の予防につながるのです。

適度な運動、適切な栄養、知的な活動、社会参加が認知症予防のポイントです。運動は週3回以上、1回30分以上する。ゴルフに行ってもカートに乗らない。自宅でも階段の上り下りができるし、近所の散歩でもいいでしょう。

認知症に直接効く食品はありませんが、生活習慣病予防が認知症予防に役立つという意味で言えば、塩分、脂肪を取りすぎず、青魚や緑黄色野菜を食べる。健康維持や生活習慣病予防に効果的な食事を心がけたいですね」

人付き合いがなく、趣味がない人も認知症になりやすいという。

「なるべく人と関わり、何か熱中できるものを持つことも大切です。計算や日記もいいし、本や新聞、頭を使うゲームもいい刺激になります。仮に友達がいなくても、息子や娘が毎日のように電話をすれば、人と話すことはできる」

遠藤氏によれば、会話をすると脳の血流が増えるという。「ところが、嫌いな人としゃべっても脳の血流はあまり増えない。実際、慢性的な精神的ストレスも脳の血流を悪化させるため、認知症のリスクを高めます」。