睡眠不足大国ニッポンは認知症大国でもある

日本を訪れる外国人観光客の多くが日本の魅力として美しい風景を挙げています。その一方で、日本独特の風景の一つとして挙げるのは、電車の中で眠っている人の姿です。外国人の目には奇異な風景に映るようで、海外から来た私の友人は「なぜ電車の中で眠っているの。日本人は大丈夫ですか」と心配していました。睡眠を削って仕事や勉強をすることを美徳とする価値観、根性主義がいまでも日本人に残っているのかもしれません。

経済協力開発機構(OECD)の調査で、加盟33カ国の平均睡眠時間は日本が7時間22分で最も短くなっています。やはりOECDから、全人口における認知症の有病率は日本が2.33%で加盟国の中で最高と報告されています。これは日本人の平均寿命(84.3歳)が世界第1位(WHO世界保健統計2023年)で高齢者人口が多いことからも頷けますが、近年、多くの研究により睡眠と認知症が相互に関連していることがわかってきました。

睡眠の質低下でアルツハイマー病が

認知症は、脳の神経細胞の働きが徐々に衰え、記憶、判断力などの認知機能が低下し、社会生活に支障をきたす状態をいいます。認知とは、目(見る)、耳(聞く)、鼻(嗅ぐ)、舌(味わう)、皮膚(触れる)の五感を介して入ってきた情報から状況を確認したり、記憶したり、学習したり、言葉を操ったりするなど、人の知的機能をまとめた概念です。認知症では記憶障害、判断・計算・学習・言語などを含む脳の高次の機能(認知機能)に障害が見られます。医療の現場では、記憶力と認知機能の低下を医学的に判断し、これらの症状により日常生活動作や遂行能力に支障をきたすような状態が6カ月以上続く場合、認知症と診断されます。