現場チームも多国籍軍が強い

マーケティング責任者はフランス企業から、技術責任者は米国企業から、製造責任者は日韓・ドイツ企業から、そしてITはインド企業から――。仮説的なドリーム経営チームの1つの姿です。

実際は出身国や出身企業で人選ができるほど単純ではなく、個人の能力・経験で選ぶことが何より優先されます。ただ現実に、強いグローバル企業の経営チームを見ると、幅広い経験に加えて、多様な文化的背景を持った人たちの混成チームになっているケースがよく見られます。

多様性があるのは現場のチームも同じです。私が以前、アメリカで金融機関に対するコンサルティング・プロジェクトの現場監督を務めたときのチームは、3人が米国人、2人がヨーロッパ人。そこに日本人である私が加わった混成チームでした。

優秀なグローバル企業は、なぜバックグラウンドが異なる人たちを集めてチームを組むのか。それは、多様性があることによって発想が刺激され、イノベーティブなチームになりやすいからです。

私がいたチームも刺激的でした。典型的な米国人は目標に向かって一直線の思考をする傾向があります。しかし、そこにヨーロッパ人が加わると、アメリカ的な合理主義をなかば揶揄するように別の角度からアイデアを出して、チームに変化を与えてくれます。それを受けて米国人がまた反論をするのですが、そうした喧々諤々の議論の末に、いままでになかった斬新な解決策が生まれることが多々ありました。

グローバル企業は、ダイバーシティのパワーをよく知っています。それゆえ積極的に、バックグラウンドの異なる人たちを集めてチームをつくろうとしているのです。