毎月、車で4~5時間かけて帰省

同居当初は大変で、母娘といっても、色々あるのでしょうね。今も母からは電話で、妹からはメールで愚痴めいた内容が届きます。お互いささいなことばかり。私が近くにいれば、間に入ったり、直接相談に乗ってあげたりできるのに。もどかしく思いながら、ストレスがたまらないよう、できるだけそれぞれの話を聞くようにしています。

私も、父の入院当時は、毎月2回、今でも毎月1回は、車で4~5時間かけて帰省します。だいたい2泊3日くらい、色々な用事が済ませられるよう平日を挟みます。ですから、こちらの事情を理解して、休ませてくれる職場はありがたいですね。

帰省するときの交通費は高速代だけで往復1万円ほど。そのほか、妹に少しですが、お金を渡しています。「お姉ちゃん、そんなのいらない」と妹は言いますが、私が地元にいない分、病院や施設探しやさまざまな手続き、母の家計管理など、すべて引き受けてくれているのは妹です。

きっと妹が傍にいてくれなければ、もっと大変だったでしょうし、その場合は、父を私が、母を妹がというように別々に引き取ることになったかも。妹は、正社員で働きながら、3人の子どもを育て、さらに老親の面倒も見てくれています。そんな妹にはいくら感謝しても足りません。元々、周囲からも仲が良いと言われていた姉妹ですが、協力して親のサポートをするには、きちんと感謝の気持ちをカタチで示すことは大切だと思います。

突然、親が要介護状態になってパニックに陥った私たち家族。今思えば、もっとちゃんと備えておけばよかったと思います。その1つが「お金」。両親とも公務員で、公的年金は2人合わせて月額25万円以上もらっています。でも父が入院してから、親の通帳を確認したところ、貯金はびっくりするくらいありませんでした。両親からすれば、まさか自分たちが要介護状態になるなんて想像もせず、好きなことにお金をかけ、悠悠自適に老後を楽しんでいたのでしょう。

そして「情報」も重要です。実は私は介護関係の仕事をしています。でも長年地元を離れてしまえば、その地域にどんな介護施設があるかなど、状況はまったくわかりません。ですからいくら元気でも、親がある程度の年齢になれば、地域資源に関するアンテナを張り巡らしておくべきです。イザというときに備えておくよう、子どもから親への情報提供もせず、本当に見通しが甘かったと反省しています。

◆お金のプロからアドバイス

いくら元気な親でも、一定の年齢になれば、何が起こってもおかしくないとココロとお金の準備をしておくこと。親を呼び寄せて同居する場合は、その前に「お試し期間」を設けて、お互いが新しい環境や状況になじめるかどうかチェックしてみよう。

※本連載は書籍『50代からのお金のはなし』(黒田尚子文著)からの抜粋です。

【関連記事】
まさか三男の夫が老親の面倒を見ることになるとは!?
初めての親の介護「必ずつまずくこと」
「自宅で最期を迎えたい」という親のためにできること
親の介護「早く死んで」と願う私は冷血か
遺族が喜ぶ「エンディングノート」の使い方とは?