これが、偉い人たちの「報酬」の内訳
役員の報酬は、主に
・固定報酬
・賞与
・役員退職慰労金
の3つで構成される。
その内訳は有価証券報告書に記載されているが、算定方法については明確になっていない。
内閣府令では、報酬額1億円以上の役員名以外に「報酬額の算定方法の決定方針がある場合はその内容および決定方法」の開示を義務づけている。素直に読むと、役員報酬の決定に関する方針がない場合は、その内容や決定方法も記載する必要がないとも解釈できる。常識的に考えれば固定報酬1本であっても、役職や勤続年数で決まっていれば「決定方針や決定方法がある」ことになる。
ところが、実際は具体的な報酬ポリシーを記載していないところが多い。
たとえば1億円以上の役員が多い三菱電機とファナックだ。三菱電機は固定、賞与、退任慰労金の「報酬等の決定に関する方針」を記載している。だが、ファナックは「該当事項はありません」との一言だけだ。
ファナックの稲葉善治社長は報酬ランキング17位の4億8600万円。内訳は基本報酬1億7700万円、賞与3億900万円。開示されたのは金額で、賞与が固定賞与なのか、あるいは業績連動賞与なのか。どういう基準で支払われているのかさっぱりわからない。
三菱電機も執行役の賞与については「業績連動報酬については連結業績及び各執行役の担当事業の業績等を勘案して決定し」と記載されているが、具体性に欠ける。連結業績といっても、経常利益なのか営業利益を指標にしているかもわからない。
一方、算定方法が明確な企業もある。
たとえばある大手企業の役員の業績連動賞与は、会社業績と個人業績結果で決まる。
会社業績分は営業利益200億円を基準に1000万円を支給する。この場合の支給係数を100%として計算し、営業利益300億円で120%、400億円で150%と増える仕組みだ。逆に200億円を下回ると下がることになる。
本来であれば三菱電機も具体的な算定式まで記載してほしいところだ。それが、多くの同社社員の思いであり、世間の考えかもしれない。たとえば、カゴメは「連結経常利益率」を指標にしていると記載している。報酬の決定方針や決定方法の記載が企業によってバラバラでは株主はもとより、社員の納得も得られないのではないか。