まず、外見が平均的ということは“失敗”が少ないことを意味する。逆に平均から外れた外見は、病気やケガで変化した可能性が高い。平均顔を好むことは、生存のためにリスクを減らすことでもある。
加えて雄が雌を選ぶ際は、自分以外の雄の子を妊娠していないかを見分ける必要がある。だから遺伝子を残す意欲の強い雄が、そのリスクの低い、若い雌を選ぶのは当然だろう。
ただ、いくら若いほうがいいとはいえ幼い雌では、妊娠できる年齢に成長するまでに雄が負うコストが大きい。だから、妊娠の可能な第二次性徴期ギリギリの雌を選ぶことが、雄にとって適切である。一夫一妻制を前提とするなら、この時期の雌をめとることが、その先に最も多く子供をつくれる可能性が高い。
人間の第二次性徴期ギリギリは13~14歳頃。男性は女性の顔から年齢を、体つきから第二次性徴期か否かを判断するが、平均顔・ロリータ顔に加えて、ボディが豊満な女性に魅力を感じる理由はそこにある。
実際、犯罪心理学の立場からいうと、売春の代金は13、14歳の女性が最も高額で、そこから年齢とともに安くなり、20代も後半になってくると「相場」は大きく下がってしまう。この年齢層の売春がレアであり、かつ売春自体が非合法であることを差し引いても、“相場”は明らかにこのあたりが最も高額だ。
雌が他の雄の子を宿しているか否かを見分ける際、ウエストのくびれも外せない。妊娠していれば最も変化する部分だからである。こうして男性は、ロリータ顔のみならず女性のウエストのくびれにも魅力を感じるようになったといわれる。
法政大学文学部心理学科教授 越智啓太(おち・けいた)
1965年、神奈川県生まれ。92年、学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授(当時)、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。著書に『美人の正体』『犯罪捜査の心理学』、『法と心理学の事典』(共著)ほか多数。
1965年、神奈川県生まれ。92年、学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授(当時)、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。著書に『美人の正体』『犯罪捜査の心理学』、『法と心理学の事典』(共著)ほか多数。
(構成=西川修一)