正真正銘の「真因」はどこにあるか
「なぜなぜ、としつこくやるほど、どんどん骨が出てきます。そうやって発見したたくさんの大骨、中骨、小骨のなかに真因が隠れている。一見、どうってことのないように思えることが問題解決の核心をついていることがよくあるんです」(同)
例えば、ある工場で、ラインが突然停止するトラブルが発生したとする。担当者に聞くと、止まった原因は、「モーターに負荷がかかりすぎた結果、配電盤のヒューズが飛んだ」というものだった。つまり、1回目の「なぜ」でわかったのは「ヒューズが飛んだから」。これでも一応の理由にはなっているが、トヨタではそこで終わらない。なぜ、モーターに負荷がかかりすぎたかを考えたことで(2回目の「なぜ」)、モーターの潤滑油が不足していたことが判明。さらに、その潤滑油不足の原因を探ると(3回目の「なぜ」)、ポンプの性能に難があり、十分に潤滑油をくみ上げていないことがわかった。もう真因にたどりついたかと思えば、さにあらず。なぜ、ポンプの性能が悪かったのか調べると、ポンプの軸が磨り減っていた。そして、その軸はなぜ磨り減ったか――実は、潤滑油をためるタンクの中にラインから出る切り粉(切削屑)が大量に混入し、それがポンプの軸を異常に磨り減らしていた。これが、正真正銘の「真因」だったのである。
「トヨタでは真因をひねり出したら、すぐその対策の立案・実施をしますが、それが功を奏さないときは真因の出し方が悪かったのではないかと、真因探しのやり直しをすることは珍しくありません」(同)