[2] 変革は不安を生む

新しい労働環境の中で、あなたの社員は地位を失い、あるいは苦手とする人と一緒に働かなくてはならないようになるかもしれない。これは誰にもわからないことだ。もちろん社員にもわからないことであり、それこそが問題なのだ。

多くのマネジャーは、社員の不安について1対1で話し合う時間やスキルなど持ち合わせていないと考えている、あるいはそうすることを躊躇している。だが、テキサス州オースティンにあるストラテジック・トランスフォーメーション社の社長、テラ・スターンズは言う。

「これはマネジャーにとってリーダーへと成長するまたとない機会だ。社員が変革を受け入れるのを助け、変革に伴う苦悩について意思の疎通を図り、不安に駆られて引きこもってしまった者を見つけ出すことが必要だ」

社員の不安を明らかにし、社員がこれらの不安に対処するのを助けるためには、マネジャーは次のようなカテゴリーの質問を中心に個人面談やチーム・ミーティングを行うとよいだろう。

<何が欠けているかを話し合う>

変革のプロセスが進むにつれて何が異なるのか、あるいは何が困難なのかを社員が理解するうえで、以下の質問が役立つ。

現在の環境について、何が一番気に入っているか。この変革が進むにつれて、何がこれまでと変わるのか。それは自分にどんな影響を与えると思うか。仕事にか。同僚との関係か。自分の業績か。どの時点で、自分の許容範囲を超えた変革を求められると思うか。

チームの中で社員としての自分をどのように認識しているか。個人としての自分をどのように認識しているか。変革の結果としての自己認識の変化をどのようにとらえているか。自分の役割や人間関係が受け入れがたいほど変わった場合、問題を軽減するためにどのようなサポートを求めるか。会社を辞めたり、不満を抱いたままでいるのではなく、効果的に働くためには、チームがどのような姿であるべきだと思うか。

<社内調整を行う>

社員がチームの一員、また企業文化の担い手として重要な役割を果たしていると認識したならば、彼らにその認識のうえに立って、個人としても変革を図らなければならない責任があることを理解してもらう必要がある。以下の質問によって、その自覚を引き出そう。

この変革についてポジティブな面は何か。また、ネガティブな面は何か。満足していない変化を受け入れるためには、どんなことを知るべきか、あるいはどんなことをこれまでと異なる視点で見るべきか。

自分のスキルの中で、この変革を乗り切るために役立つと思われるものは何か。必要だが自分に欠けているスキルの習得についてどのようにしたらいいと思うか。必要かもしれない再学習について、マネジメントにどのようなサポートを求めるか。

内面的な問題に1人で対処するときに困難だと思うのはどのようなことか。自身の行動の中で、注意しようと思っている点は何か。チームメートにどんなことをサポートしてもらえるか。