──世界3位に向け、今後の課題は。
我々の強みであるシューズをさらに成長させる。また当社の製品別売り上げはシューズの約80%に対しアパレル(衣服)は15%程度なので、これを伸ばす必要がある。戦略の1つは、全世界で直営店を拡大する。そうすればフルラインで商品を打ち出せて、アパレルの売り上げも伸びるはずだ。
──東京オリンピックのゴールドパートナー契約を結んだ狙いは。
アシックスは創業者の鬼塚喜八郎が、スポーツによる青少年の育成を通じ社会の発展に貢献することを志して起こした会社だ。「健全な身体に、健全な精神があれかし」という創業哲学は、近代オリンピック創設の信念と原点は同じ。日本発祥のブランドとして、日本で開催されるオリンピックを支援したいという思いも強い。世界中で注目されるオリンピックのオフィシャルスポンサーとなることで、宣伝効果も期待できる。
──契約金が150億円にものぼるといわれているが。
金額は守秘義務があって公表できないが、期間対応して計上していくので十分耐えうる計算だ。また下世話な計算だが、ロンドンオリンピックでアディダスがかなりの額を売り上げたという話もあるので、売り上げの面でも期待している。正直、意思決定では非常に悩んだが、社外取締役や社外監査役と議論したところ、彼らも「やるべきだ」という意見が強かった。
──勝算はあると。
アシックスの名がもっと世界で認知されれば、海外市場のさらなる開拓ができるし、国内でもインバウンド需要が望める。それに今後進む日本社会の変革のキーワードの1つにはスポーツ・健康がある。その意味でもオールジャパンの一員としてオリンピックの成功に尽力することは、我々にとって大きな意義とメリットがある。
アシックス代表取締役社長CEO
尾山 基(おやま・もとい)
1951年、石川県生まれ。大阪市立大学卒業後、日商岩井入社。1982年アシックス入社。常務取締役海外担当、アシックスヨーロッパB.V.代表取締役会長兼CEOなどを経て、2008年代表取締役社長就任。11年より現職。
尾山 基(おやま・もとい)
1951年、石川県生まれ。大阪市立大学卒業後、日商岩井入社。1982年アシックス入社。常務取締役海外担当、アシックスヨーロッパB.V.代表取締役会長兼CEOなどを経て、2008年代表取締役社長就任。11年より現職。
(宮内 健=構成 水野浩志=撮影)