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(右)腎機能をチェックしてみよう(左)太っちょが多い県は腎不全で亡くなる人が多い

慢性腎不全は進行度に応じて、ステージ1からステージ5の5段階に分けられている。その指標となるのが推算糸球体ろ過量(eGFR)だ。eGFRは、年齢と性別、血液検査で得られる血清クレアチニン値の数値を基に計算される。血清クレアチニン値の基準値は、男性で0.6~1.1mg/dl、女性で0.4~0.7mg/dl。血清クレアチニン値が同じでも、性別や年齢によってステージが変わってくる。たとえば46歳の男性で血清クレアチニン値が3.2mg/dlならステージ4で、腎機能は高度に低下し、心筋梗塞や脳卒中にかかりやすくなっていることがわかる。

「ステージ3から腎不全の予備軍。腎臓専門医の受診が必要です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙も腎不全を悪化させる要因なので、併せて治療することも大切。eGFRの計算は複雑ですが、血清クレアチニン値等を入力すれば判定できる計算ツールがインターネット上でも紹介されているので、試してみては」(工藤医師)

また、尿素窒素(BUN)でも腎臓の働きがチェックできる。基準値は9~22mg/dl。40mg/dlを超えたら腎不全が考えられ、さらに100mg/dl以上になったら尿毒症の起こる可能性がある。

一方、尿検査では重要となるのが「たんぱく尿」と「血尿」。1日150mg 以上出ている場合を「たんぱく尿」といい、腎障害が疑われる。血尿には結石、糸球体腎炎の可能性が潜んでいる。さらに詳しい検査に尿中微量アルブミン検査がある。これは糖尿病性腎症の初期に尿中に出てくる少量のアルブミンを検出する検査。腎臓のろ過機能が低下すると分子量の小さなアルブミンがたんぱくよりも早く排出されるので糖尿病性腎症の早期発見が可能になるのだ。

「慢性腎不全は、高血圧、糖尿病、コレステロールや中性脂肪が高い人、それから家族に腎臓病の人がいる場合は要注意です。血液検査と尿検査を併せて受け、早期に発見をしましょう」(工藤医師)