「独立の選択肢もありえます」

1972年の沖縄返還で施政権は日本に戻されたが、日米安保条約を根拠に基地を含む施設の使用はいまも駐留米軍に許されている。軍政はいまだ米国の手にあり、ということだ。そのため、基地問題で日本政府が何かを判断する場合は常に米側の意向に依存する。

国内外の辺野古推進派はその力関係を利用して「米側の意向」を喧伝し、“黒船”を押し立てて反対世論を押さえ込む。従って、情報が操作される仕組みに目を凝らせば、問題の所在と「やるべきこと」の道筋も見えてくる。

「まずは既存法で政府に対抗する。並行して、基地の当事者である米側に在沖米軍基地の実情を伝えなければなりません。民主主義国家・日本で、地元の民意が基地新設に断固反対であることを伝えておきたい。翁長知事の訪米もその一環です」

そう語るのは、沖縄選出の玉城デニー衆院議員。4月20日から4日間、米軍再編計画の進捗状況を確認するために渡米し、上下両院議員やCSIS(戦略国際問題研究所)幹部研究員ら複数の要人と直接接触した。CSISは日米両国の政府や議会を繋ぐ超党派シンクタンク。基地問題でも日米間の情報回路を握っている。

「もちろん、独立の選択もありえます。県はいろいろな場合を想定して準備しているはずです」(同前)

昨年9月のスコットランド独立投票の例もあるように、独立への手続きじたいは単純だ。国連への登録や住民投票、国連審査など、条件を踏まえて規定の手順と結果が得られれば、独立国家が誕生する。原則として日本国はその審決に関与できない。だが、独立の「実現」には、審査や聴聞で納得させうる根拠を必要とし、不当性・差別の存在証明も問われる。

とはいえ、悪名高い「日米地位協定」をはじめとして、日本における過去と現在の沖縄には、それらの要件を満たす実態があるように見える。海外でも、中東の衛星TVアルジャジーラが「日本対沖縄」の構図を現地中継。仏紙ル・モンドも「沖縄の孤独な闘い」が独立の要求を高めていると報じた。