なぜ、そのようなことが起こるのか? そこで問題になるのが、保険会社から代理店に支払われる手数料である。なかには1本契約するだけで、初年度の手数料が1年分の保険料を超える商品もあるため、利用者の必要性より、手数料率の高い商品を勧めているのでは、と指摘されている。こうした中立・公正を謳って手数料の高い商品を販売する乗り合い代理店の手法は、金融庁も問題視しており、手数料率の開示を求める声も上がっている。
少し前までは、必要ない保障までセットになった大手国内生保の商品を、単体の死亡保険や医療保険に見直せば保険料は削減できると単純に考えられていた。だが、乗り合い代理店では、加入者自ら選んだように思わせて、代理店の利益幅の大きいものを契約させるなど、保険の見直し問題は複雑化している。
本当に必要な保障額はいくらか、自分で計算する
相手が代理店だろうと、生命保険会社のセールスマンだろうと、勧められるままに行う保険の見直しは失敗しがち。見直しは、保険加入以前に備わっている公的保障、手持ちの貯蓄額なども考慮して、必要な保障額と必要な期間について自ら考える習慣をつけたいもの。
たとえば、一家の大黒柱の死亡保障は、夫の死亡後に必要な生活費、住居費、教育費などの支出を予測し、そこから公的な遺族年金、勤務先の福利厚生などからもらえる収入を差し引いて、不足する分だけ民間の保険に加入すればよい。
代理店などで保障額を計算すると高額になりがちだが、「貯蓄や頼れる実家があったり、妻の収入が期待できれば、その分、保障を減らすことができます」(八ツ井さん)と覚えておきたい。勧められたものだけではなく、ネットで販売している通販の商品などとも比較してみるといいだろう。そして、支払う保険料総額と、万一のときにもらえる保険金や給付金を比較して、そのコストをかけても価値があると思ったら、見直しを実行しよう。
ただし、健康状態によっては保険に加入できないこともあるので、見直すときは新しい保険契約が成立してから、古い保険を解約するのが鉄則だ。