エクセレンスチタンは開発開始8年目、レーザー微細接合は5年目の09年に同時に完成。ラインアートが発売された。


上から時計回りに堀川馨会長、技術開発課の多田弘幸さん、中村浩さん。

「メーカーは新しいことでリスクを冒すより、既存の技術で改善を競い合う発想からなかなか抜け出せない。でも10%改善しても、顧客には本質的ではなかったりします」(中村さん)

「ぼくらは、みんなが不可能と思ったものを世の中に出し、驚かせたかった。驚きは喜びに変わる。それができたらいいなと思い続けました」(多田さん)

突出した技術で突き抜ければ、競争相手はいなくなる。それを推進したのは徹底した顧客志向だ。土日返上。8年も耐えた研究開発。他社との優劣という相対価値より、顧客満足という絶対価値を優先し、顧客にとって都合がよければ、不都合なことも実践する。効率やスピードも重要だが、限りなく理想を追い求める執念や忍耐の経済が、結果として圧倒的な競争力に結びつくことも忘れてはならない。

※記事内の商品価格はすべて消費税込み。

シャルマン(福井県鯖江市)
1956年に眼鏡フレーム部品メーカー「堀川製作所」として創業。61年に堀川馨現会長が家業継承後、眼鏡フレームすべての製造を可能に。新素材エクセレンスチタンと接合技術の開発に成功し、2009年にラインアートシリーズを発売。
(大森大祐=撮影)
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