聴覚情報は25%しか残らない
人の話を聞くのは、簡単なこと……そう言い切りたいものの、ただ聞き流したり、考えごとをしたりしていると、「話を聞いてないな」とすぐに見破られ、信頼を得ることは難しい。本当に相手の話を理解しようとすると、かなりの神経と体力すらも消耗する作業かもしれない。
双方向のコミュニケーションでは、相手の言うことに耳を傾け理解してはじめてやりとりが成立するし、真剣に話を聞いてこそ相手も心を開いてくれるだろう。プレゼンでも営業でも、あらゆる場面で「話を聞く」ことが、説得の切り札の一枚となるものだ。
サウンドコンサルタントのジュリアン・トレジャー氏は、TEDで話を聞く能力について、聞くことは“音から意味を取得すること”だと語っている。
聞くために必要なことの一つに「パターン認知」を挙げている。ざわざわとした雑音の中で、自分の興味がある会話や人のうわさ話などの特定の会話に耳が傾いていくなど、雑音と情報をパターンで聞き分ける。どんなにうるさくても、自分の名前だけはよく聞こえる……そんな経験はどなたもおありだろう。これはよく言われる「カクテルパーティ効果」と呼ばれるものだ。
次は「キャンセリング」。ざわざわとした雑音が続いている限り、その変化のない音は無視できるようになる。私たちはフィルターを使い、不要な情報をふるい落としていく。こうしたテクニックを使い意志を持って聞くことで、25%しか記憶に残らないとされる聴覚情報ながら、少なくとも25%程度は記憶に残ることになるわけだ。
では、これをビジネスで生かして、説得の効果に変えるために、“聞く”観点からの5つの姿勢を見てみよう。