所属する介護施設のサービスばかりすすめるケアマネは要注意
介護保険の手続きが終わっても、すぐにサービスの利用ができるわけではない。具体的に、どのようなサービスを利用するか、計画を立てる必要がある。この計画をケアプランといい、計画作成のサポートをするのがケアマネジャーの役割となっている。サービスの種類と内容、利用料、要介護者の状態から判断してどのようなサービスの利用が適切であるかなど、専門家でなければわかりにくいことに関して気軽に相談にのってくれる。
ケアマネジャーは、5年以上の保健、医療、福祉分野の実務経験を持つ人が国家試験に合格し研修を受けて取得できる資格である。現在約40万人のケアマネジャーがいて、介護福祉士や看護師の経験を持つ資格者が大半を占めている。ケアマネジャーは、ケアマネジメントを行う居宅介護支援事業所に所属することで実務を行うことができる。多くは、特別養護老人ホームなどの施設に併設された事業所に所属しているが、なかには、単独で事業所を運営しているケアマネジャーもいる。
ケアマネジャーとのかかわりは、介護保険の認定手続きが終わった段階で始まる。この際、利用者がケアマネジャーを選択できるので、もし気に入らなかった場合は変更することもできる。また、ケアマネジメントにかかる費用は利用者が支払う必要はない。
1週間の介護サービス利用の計画を固めたのち、希望したサービスを提供してくれる事業者の選定がなされ、サービス利用者が納得してはじめてサービスを提供する事業者との契約となる。
しかし、ケアプランの作成は、すでに述べた流れのようにスムーズに運ぶわけではない。人気が高いために希望どおりのサービスが受けられない場合やケアマネジャーとの相性が悪く、利用者側の希望をなかなか反映してくれないケースもある。なかには、所属している介護施設のサービスばかりをすすめてくるケアマネジャーもいるので、ケアプランの良し悪しは、ケアマネジャーの質によって大きく左右されることが多い。在宅介護を行うためには、良いケアマネジャーにめぐり合うことが条件のひとつになるくらい、その影響力は大きい。
良いケアマネジャーを見わける基準としては、(1) 利用者の意見や要望をじっくりと聞いて尊重してくれる、(2) 専門知識や情報量が豊富、(3) ケアマネジャー自身に仲間がたくさんいてチームプレーができるなどが考えられるが、初対面でこうした力量を見極めることは非常に難しい。
そこで、多くの介護サービス利用者が語る共通項を整理してみると、以下のようになる。難しく考える必要はない。まず、ケアマネジャーである前に、1人の人間として向き合い、コミュニケーションがとれる相手かどうかを判断することが重要だ。さらに、何か相談事を持ちかけたとき、すぐに行動してくれるフットワークの軽さを兼ね備えていることが必須条件である。
在宅介護は待ったなしの日々のなかで進められている。ケアプランの中身は、内容がわかってきた段階でいくらでも修正が利く。親身にこちらの希望を聞き入れ、素早く対応してくれるケアマネジャーを、遠慮なく選ぶことが先決である。