2. 4割手を抜く
完成度6割のベータ版でいい

真面目な人であればあるほど、完璧を目指しがちだ。だが、「一週間かけて出す100点の仕事」より、「1日で出す60点の仕事」のほうがありがたい、と植田さんは話す。

「状況は刻一刻と変化しており、完璧だと思った次の瞬間には条件が変わってしまう可能性もある。それならば、ソコソコの結果をスピーディに出したほうがずっといいんです」

フェイスブックの創設者、マーク・ザッカーバーグも「完璧を目指すよりまず終わらせろ」と話している。変化の激しい現代では、スピードが大きな要素なのだ。

ある事柄についての調査やデータを探すにしても同じだ。植田さんは「自分でおおよそこういうことだろうなという6割程度の確信が得られればそれでいい」という。

「日本人は完璧志向が強いから、6割と思っても客観的には8割に達していることが多い。ある程度の大雑把さが必要です。また、事実はとらえ方によって二面性があって、調査だけではいくら時間をかけてもそのすべてを明らかにはできない。それならば、手元に集まった情報で仮説を立て、次に進んだほうがはるかに効率的です」

理央さんは、「6割まで仕上げたら、そこから先は上司や同僚と相談せよ」という。

「やや粗いベータ版でもいいから、とにかく上司に提出してみるんです。上司がいろいろなアドバイスをくれたり、自分だけで考えていては思いつかないアイデアをくれるかもしれない。上司に聞きにくいようであれば、同僚でもいい。まわりの人をうまく使ったほうが早いし、いいものができる可能性も高いんです」

上司も、部下が出した仕事が30点以下なら論外だが、多少粗い程度で叱ってはいけない。早く成果を出すためにはそのほうが早道だということを理解しておく必要がある。