何をすればポイントが上がるか→上司の「視点の鋭さ」に感心する

ズバリ聞きたい。上司であるあなたの評価ポイントを上げるには、仕事の成果以外で何をすればいいのか?

「人間秋山」を標榜する柏市長の秋山氏はストレートな答えをくれた。

「人間は、自分の入れ込んでいるやり方をほめられると嬉しいものです。自分のこだわりや意識していることを的確に指摘してほめられるのも嬉しい。やっぱりかわいくなりますよ。人間、そういうもんですよね。私も気をつけなくては」

効果的な場とタイミングで敬意を示すのだ。以下、秋山氏の想定する具体例だ。

・上司が提示した異なる視点に対して、「そういう大きな視点が必要なんですね」と敬意を示す。
・上司の指摘に対して、「確かにその通りですね。非常に本質をついていると思います」と敬意を示す。
・上司のちょっとした知識やアイデアに対して、「はぁー、なるほど」「それは私には気づけませんでした」などと敬意を示す。

ちなみに、秋山氏が「入れ込んでいるやり方」はコンサルタント時代から意識している結論の短さとスピード。この部分に敬意を示されると有頂天になるらしい。ややもすると「敬意」ではなく「おべっか」の世界に近いのでは?

「はい、極めて単純な話です。ホステスさんがお客さんをほめるテクニックと本質的には同じですね」

バカバカしいと感じるだろうか? 鳥越氏は、優秀でロジカルな人ほどこのような「感情」を軽視しがちだと指摘する。能力と成果だけで自分は正当に評価されると思い込んでしまう。

「人間は感情の動物であって、感情抜きで機械的に動くなんてありえません。だから、ビジネスに感情を持ち込むなというのは大嘘。ただし、感情に流されるんじゃなくて、自他の感情をコントロールし利用する心構えが必要です」

相手の感情に注目しない人、自分は自分だし相手がどう感じていても関係ない、と思っている人は上司との関係において大損をする。

「感情の起伏が激しい上司に対して、『あの人は心配性だから上司の器じゃないね』なんて批判する人もいます。正しい意見かもしれないけれど、そんな上司にネガティブな感情を持たれたら、自分の評価は大きく下がってしまう。だからこそ、上司の感情に注目することがとても重要なのです」

たとえば自分がプレゼンする会議があるとする。発表がうまくできるかに気を取られてしまい、権限を持つAさんがプレゼン中に不機嫌になったことに他の人はみな気づいたのに、自分だけ気づかなかった……というようなことが起こった経験はないだろうか。

相手の感情がわからないことが原因ではない。多くの場合、単に感情に意識を向けていないだけなのだ。

まずは、相手の感情がいかに仕事に影響を及ぼすかをよく自覚しよう。それだけで、これまで気がつかなかった相手の感情がわかり、それに対する対処法もおのずと見えてくる。また、一連の仕事が終わったあとに、あえて「感情の動き」に着目しながら、相手と自分の行動や言動が、お互いにどんな感情を引き起こし、それがどんな結果を生んだのか、振り返って検証してみるのも有効だ。

感情に着目し、上司も自分も気持ちよく仕事ができる状態を保つ。それは単なるおべっかではなく、組織人に必須の気配りだ。実践できればあなたのポイントは自然と上がっていくだろう。