最近、なぜ上司が優しくなったのか?→やましいことがあるから
いつもネチネチと否定的なことばかり言ってくる上司。今日は様子が違う。「最近、よくがんばっているね」なんて笑顔で声をかけてくる。もしかして、今度の人事異動で私が抜擢されることが内定しているのでは? いや、逆にリストラ対象者にされていることもありうるぞ。上司の心理を知りたい。
「それはたぶん、上司がミスったときですね。自分が間違ったと言いにくい分だけ、丁寧にフォローしてしまうのです」
人間秋山が再び率直すぎる口を開く。それでは浮気をしてきた既婚男が妻に急に優しくなるのと同じではないか。
「そうかもしれないですね。本人は優しくしているつもりはなくても、後ろめたさやお詫びの気持ちがあるから、通常の行動パターンと変わってしまう。部下のほうから見れば優しくなったと見えるかもしれないですね」
鳥越氏はさらに身も蓋もない回答を寄せてくれた。
「上司は私生活においてものすごくハッピーで、仕事においても優しくなっているだけかもしれませんよ」
相手の言動の真意をつかむには、大きく2つの可能性を考慮しなければならない。一つは自分に対するメッセージである可能性。より大きいもう一つは、自分以外の要因が影響していることだ。
「人間はどうしても自分を過大評価しますから相手の行動は自分との関係でそうなっていると思いがちですが、そんなことはない。上司だって人間。体調や精神状態によりたまたま、かもしれません」
逆にいえば、上司がしかめっ面をして不機嫌でも、少し考えてみて理由がわからないなら、気にすることはないのだ。
もちろん、自分と関係がある場合もある。それも普段から上司のタイプを観察していれば一目瞭然だという。前向きで問題解決型でネガティブな感情に左右されないタイプの上司なら、優しくなった=自分に好意を持ってくれていると素直に受け取ればいい。このタイプは悪い情報もダイレクトに伝えるはずだからだ。逆にネガティブで感情に左右されやすく、問題から逃げるタイプの上司が急に優しくなったときは、何か悪いことを隠している可能性もなくはない。
しかし多くの場合、上司が急に優しくなったからといって昇進や降格の前触れなどと考えるのは飛躍しすぎだ。通常は損も得もしない。心配するエネルギーのほうが無駄である。ありがたく受け止めて放っておこう。