突発的なトラブル、予想外の仕事……余裕がないと些細なことでテンパってしまい、取り返しのつかない事態を引き起こすこともある。今の自分の「心の余裕」具合をチェックしてみよう。
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同じ苦境に立たされても涼しい顔で乗り越える人とテンパる人がいる。この差はどうして生じるのか。西多昌規さんに解説してもらおう。

「テンパるとは一般的には心に余裕のない状態を指しますが、脳からすると外部からのストレスに適応しようと必至に頑張っている状況です。踏ん張りがきくかどうかは脳の適応力次第。これに関わるのが、第一に遺伝的要因です。親がテンパリやすいと、その形質は子どもにも受け継がれる。ただし、絶対ではなく、怒りっぽい親を反面教師にして本人は泰然自若としているケースも少なくありません」

遺伝子に加えて、食事を含めた生活習慣も、脳の適応力を大きく左右する。なかでも、影響が大きいのは睡眠。寝不足による脳への悪影響の一つ、セロトニンの生成が阻害される点は見逃せないと西多さんは指摘する。

「セロトニンは前向きな気持ちを生む神経伝達物質で、不足すると陰鬱になり、イライラしやすくなります。このセロトニンの生成には、睡眠中に脳の松果体から分泌されるメラトニンが不可欠なのですが、睡眠が足りないとメラトニンが十分に分泌されず、結果、セロトニンも減少することになるのです」

さらにいえば、セロトニンの生成には朝の光を浴び、朝食をしっかり取って体内時計を目覚めさせる必要があるため、不規則な生活はご法度。また、運動不足もセロトニンの枯渇につながるため、ジョギングやウオーキングなどリズム運動を習慣化したいところだ。

もちろん、食生活も重要だ。セロトニンについては、トリプトファンという必須アミノ酸が原料になるため、これを多く含む牛乳、チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品といったものをバランスよく食事に取り入れたい。

「セロトニン不足ばかりでなく、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は脳の処理能力を低下させるという報告がありますし、高血糖・高コレステロールの食事は脳動脈を硬化させて神経細胞にダメージを与えることも研究によってわかっています」

ラーメンやコンビニ弁当など栄養の偏った食事を続けていると、テンパリ指数が一気に跳ね上がる可能性大なのである。

現代社会ではストレスは避けられないが、食事や生活習慣は見直せる。テンパリ度が高かったら、それらを見直してみるべきだろう。