人は“パン”よりも時に“評価”によって満たされる
企業組織が社員に与えることのできるインセンティブのなかに、「評価的インセンティブ」というものがある。これは人々の行動を、組織が何かしらの形で賞賛することによって意欲を高めようとするものである。直ぐに実践できることとしては、職場のリーダー/管理者が、個人の行動のうち、素晴らしいと思えるものを皆の前で惜し企業組織が社員に与えることのできるインセンティブのなかに、「評価的インセンティブ」というものがある。これは人々の行動を、組織が何かしらの形で賞賛することによって意欲を高めようとするものである。直ぐに実践できることとしては、職場のリーダー/管理者が、個人の行動のうち、素晴らしいと思えるものを皆の前で惜しみなく賞賛するというのが挙げられる。
この場合、「褒めても人事考課およびそれに基づく賞与や給与の増加で報いてあげることができないのでは」という不安もよぎるだろうが、実はこれはあまり気にする必要はない。人はパンのみのために働くのではないし、人事考課や報酬が伴わなくても「他者の役に立つ自分でありたい」という欲求が満たされることによって、仕事に前向きに取り組める可能性は高まるからである。また、この評価的インセンティブとは、リーダー/管理者が直接行う評価(褒める)だけではなく、メンバー同士で褒めあいたたえあうことも含まれる。
「自分は何か有益なことを成し遂げたという達成感を持ちたい。そして、その達成を認めてくれる仲間に恵まれたい」という欲求を、仕事のできる人間ほど、経験上強く持っている。その欲求を満たしてもらえる限り、そう簡単には人はその組織を去ろうとしないし、報酬に納得できなくてもモチベーションを落とさず頑張ることができるのである。
社員一人ひとりが、毎日同僚の誰かに「昨日、Aさんにこのようなことをしてもらいました。ありがとうございました」という感謝の気持ちを伝える場をつくった職場があるが、これなどは、社員同士で「評価的インセンティブ」を与えあっていることになるので、一定の効果が期待できる。