インフルエンザ脳症と高齢者の肺炎に注意
薬は使わなくても、ほとんどの人は1週間くらいで回復する。それでも、インフルエンザによる高熱、筋肉痛、関節痛は大人でもつらく、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビルといった抗インフルエンザ治療薬の登場で、高熱や体のだるさが続く期間が短縮されるようになった恩恵は大きい。
インフルエンザで特に注意したいのは、5歳以下の子供に多いインフルエンザ脳症と、高齢者の肺炎だ。インフルエンザ脳症は発熱した日から2日以内に起こりやすく、意識障害、けいれんが長く続いたり、異常行動を起こしたりして死亡したり後遺症が出るケースもある。抗インフルエンザ治療薬は脳症には効果が低く、特効薬はないが、乳幼児がインフルエンザになったときには目を離さず、いつもと違うと思ったらかかりつけの小児科医を受診することが大切だ。また、高齢者の場合は、インフルエンザになっても高熱が出にくく、発見が遅くなりがちなので注意しよう。
なお、オセルタミビル(タミフル)で問題になった異常行動は、他の抗インフルエンザ薬を使っているときや薬を使っていないときにも報告されている。異常行動とは、例えば、「興奮して窓を開けてベランダに出ようとする」「話しかけても反応しない」「変なことを言い出し泣きながら部屋の中を動き回る」などといった行動だ。子供が中高生になると、熱を出しても親が仕事を休めず一人で寝ているといった状況になりがちだが、インフルエンザのときだけは、乳幼児はもちろん、未成年の子供が一人にならないようにしたほうがよさそうだ。
一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間はウイルスを排出し続ける。学校保健安全法では、「発症した後5日を経過し、かつ、発熱した後2日(幼児にあたっては3日)を経過するまで」は出席停止期間とされている。幼稚園や保育園、小中高校に医師の署名捺印が入った治癒証明書を出さないと出席させてもらえなくなっている。忙しいシーズンではあるが、できるだけ仕事もそのくらいは休んで、人にうつさないように配慮しよう。