社員食堂が自社製品の営業効果を高める例もある。
カルピスでは、社のホームページでカルピスを調味料として使うレシピを紹介してきたが、社員食堂でも業務委託先の西洋フード・コンパスグループ、山口晴生店長の提案で、2009年7月から毎月1回「カルピスメニュー」を導入した。カルピスを使った珍しい料理が食べられるとメディアにもたびたび取り上げられ広告効果もあったという。
「意外にもサバの味噌煮などが絶品。カルピスの甘味と酸味が味噌に合うんですね」。
入社3年目の営業担当の女性も「外回りが多く、会社に居られないときも多いのですが、得意先からは『一度カルピスの料理を食べたい』とよく言われるので、カルピスデーには食堂で商談することがあります。飲料だけでないカルピスの魅力を伝えるきっかけになれば」と営業ツールとして活用している。
同じく飲料メーカーの日本コカ・コーラでも、毎月1回、「Coke Day」として自社製品を使った料理を社員食堂で提供。また、地域ごとに製品製造と販売を担当しているボトラー社との連携イベントも開催。グループで取り組んでいる新しい取り組みなどを、部署を超えて全社員に浸透させる効果を狙っている。
また、自社製品そのものも食堂では無料で飲むことができる。広報の尾縣香名子さんによると、この“試飲”には様々な効果があるという。
「食堂での人気具合を見ると、社内で簡単なマーケティング調査にもなりますね。コーラは和食に合わないと思われるかもしれませんが、実はイケます。これも社員が食堂で試してみて、実感したうえで消費者に勧めているんですよ」
もちろん、社員食堂ブームの火付け役でもある、タニタを忘れることはできないだろう。100万部を超えるベストセラーになった『体脂肪計タニタの社員食堂』効果で、社名の認知度が大幅にUP。今では「社員食堂が有名なあのタニタですか」と聞かれることも多いとか。