小さな勝利を大きな勝利につなげるには

「敵の態勢に応じて勝利を収めるやり方は、一般の人にはとうてい理解できない。かれらは、味方のとった戦争態勢が勝利をもたらしたことは理解できても、それがどのように運用されて勝利を収めるに至ったのかまではわからない」

上記の言葉は、第六編「虚実」の中にあります。ここでは「無形」すなわち形がないことの重要性を述べています。勝ったのち、次の勝利はさらに勝った理由がわからないようにすべきです。より自然に、より当たり前に、より努力が見えない勝ち方をするのです。

勝つことで、さらに賢い勝利を目指す。これを重ねると、勝利を続けているのに、やがて模倣者が生まれなくなります。あなたがどうして成功しているか、誰にもわからなくなったからです。 

結局、敗者は小さな成功を思い上がりの入り口にしてしまいます。勝者は常に、勝利を新たな成長の糧にしているのです。この違いが積み重なると巨大な差を生み出します。

・勝利のたびに、自分の周囲の人材に感謝をしているか。
・勝利のたびに、自分の能力を過信して思い上がるか。

前者は勝利を、新しい挑戦に手を伸ばす基礎にすることができます。後者は勝利を、より大きな悲劇を生む落とし穴にしているのです。孫子は常に「最終目標を忘れるな」と説いたことを思い出してください。小さな勝利は、あなたが思い上がるためのものなのか。

それとも、本当に達成したい夢のための第一歩なのか。小さな勝利を、より大きな勝利につなげるにはどうすべきか。

手にした勝利を前に、自分を賢く管理することこそ、最も大切な孫子の教えなのです。

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