「需要と供給」で給料は決まる

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歯科医師数の推移

では、なぜ歯科医は儲からない職業になったのでしょうか?

理由は明快です。数が増えすぎたのです。

表は、歯科医師数の推移を示したものです。

1970年と比べて約3倍、1980年と比べても約2倍になっていることが分かります。1970年というと大昔のようですが、定年制のない免許ですので、現在でも現役可能な70歳の高齢医師が免許を取得した頃です。

この40年で日本の人口は1.2倍程度にしか増えていませんので、明らかに供給過剰ということになります。今では、歯科医院はコンビニの数よりも多いと言われるほど増えてしまいました。人口10万人当たりの医師数で見ると歴然、36.5人から80.4人と2倍以上になっています。

それでも、1995年前後までは、患者1人当たりの治療費アップにより、市場全体は拡大していました。しかし、それ以降は治療単価も横ばいとなり、歯科医師数の増加を吸収できなくなったのです。

事実、収入の確保が困難なために、廃業する歯医者さんは、後を絶たちません。

もちろん、技術が高く、マーケティングセンスに溢れる歯医者さんは地域で評判となり、患者が集中しますので、セレブのイメージ通りの先生も少なからず実在します。一方で、そのような医院が流行れば流行るほど、平均以下の歯科医はサラリーマン以下の生活を余儀なくされるという、悪循環に陥っているのです。