面接時に大笑いする候補者

面接は、採用しようとする人材が話す通りの専門的な能力や知識を本当に備えているのか、あるいは、必要十分な経験を本当に積んでいるのかを慎重に見極めるプロセスです。これと同じくらい慎重に見極めるようにしているのが、会社のカルチャーに合うかどうかです。面接を受けにくる候補者も自分の人生をかけているので、自分に合っている職場なのか、上司や仲間の人柄はいいのかなどを吟味するのと同じようにわれわれも気をつけています。そういった点を考慮していくと、いくらアメリカは人材の流動性が高くて、優秀な人材を確保しやすい環境だといっても、本当に自分たちの会社に合う人材を見つけるのは至難の業なのです。

ここで思い出した面接でのエピソードを1つ紹介したいと思います。会社設立から数年が経ち、面接中に何度も大笑いをする人物に出会いました。私がアメリカの文化に慣れていないからだとしても、面接中に大声で笑うのは不真面目に見えるし、歓迎できないということを、その人物に意を決して伝えたのです。「この会社は自由に笑うことも許されないのか!」と、その人物は怒ってしまったので、もう次の面接には来ないのではないかと思いました。

ところが、彼ははっきり言ってくれて良かった、よいアドバイスだったと感謝してくれたのです。面接を重ね、その人物には入社してもらうことになりました。面接の機会は限られていますから、言いにくいことこそ、その場ではっきり伝えることが結果的にはお互いにとってプラスに働くのだと学んだ出来事でした。今ではもっとも信頼できる古参の社員の一人になりましたし、良い思い出です。