「目」の世界であらたな市場を切り拓くジェイアイエヌとアキュセラ。まったく異なるマーケットで事業展開する経営者の対談。前編( http://president.jp/articles/-/13440 )では、ジェイアイエヌのアメリカ展開とその課題について語り合ったが、本編では「業界の常識」という壁を打ち破るイノベーションについて語る。
イノベーターに通底する考え方
【窪田】みんなが選ぶ方向とは異なる道に進むのが、非常に重要だと私は考えているんですよね。事業家を見ていると、ほとんどの方が人と違うことを考えて、人と違うことを実行している。これは通底していますよね。
【田中】そうですね。他の人と同じことをやったところで、大して抜きん出ることはできません。会社がたくさんある中で、そこを超える価値や新しい市場を創造しないことには競争にもなりませんから。やはり、誰に何と言われようとやり通す気持ちを持ち続けることが大切だと思います。私などは平凡な幼少期を過ごし、真剣勝負をする経験はほとんどありませんでしたので、ビジネスを始めてからが本当の勝負です。人間、勝負どころを察知できるものなのでしょうか。窪田さんはいかがですか。なぜ自分で起業しようと思われたのですか。
【窪田】当時は起業がそんなに大変なことだとは思っていなかったんです。大学で研究するのも、企業で研究するのも、研究費をもらって研究すること自体はそんなに違わないかなというところが起点でしたから。でも、事業としてやっていくうちに、投資いただいたお金に対してどうやってリターンを出していくのかというごく当たり前のことをより一層深く噛みしめるようになりました。
【田中】わかります。前例などなくても何となくできるような感覚が生まれたりしますよね。多くの人が無理だと言っていることは、勝手に無理と決めつけて誰もやってないだけであることが多いように思います。頭がよくて考え抜き過ぎるために、できない理由でガチガチになってしまうのでしょうね。優秀な人ほど、できない理由を理路整然と語ることが上手ですから。コロンブスの卵みたいなもので、そこに気づけたらしめたものです。
まずやってみる、行動に移すというのが私のモットーです。そしてやってみたら意外とできることが多い。まわりの方々にはよく驚かれます。