これまで「目」の世界でさまざまな挑戦を続けてきたジェイアイエヌとアキュセラの経営トップ2人が、日頃考えていることをぶつけあう本対談。前編( http://president.jp/articles/-/13440) 、中編(http://president.jp/articles/-/13510 )に続き、最終回となる本編では、どんなに否定されても経営者としての信念を貫くことの大切さと、後進の育成について語る。
否定されることは想定範囲内だ
【田中】100人に聞いて回って99人にノーと言われても心は折れません。逆に、その中に気づきがあるのです。
【窪田】いろんな人に話をすれば、否定的な見解を示す人はいるわけです。どれだけたくさんの人が失敗する仮説を並べても、自分が納得できる仮説でなければ、突き進んでいいんですよ。否定されたことをしたら失敗するという法則なんてどこにもありませんから。失敗する仮説を立てる人とは違うロジックでものごとを考えているわけですし。そういう意味では自分のやろうとしていることが成功する可能性がまた一つ高まったかのようにも思えて、意欲がさらに強固になるんです。
もちろん時には想定していなかった質問を受けることもあります。その答えを出せるか出せないか。即座に答えが出せないアイデアだからダメなんだと言われても、少し時間をかければ出せることもある。だから、答えられないことがあるからといって、自ら可能性をゼロにする必要はないんです。否定されることは想定範囲内です。
中には、一緒にやろうよって言ってくれる価値観を持った人に出会えることもあります。
【田中】ブランディングのため海外のエージェンシーを使うと決めた時も、社内外問わず、反対はありました。金の無駄遣いだからやめたほうがいいと。しかし、われわれは新しいことにチャレンジする会社です。失敗するかもしれないけれど、とにかく始めてみたわけです。そしていまのところ順調にリブランディングが進んでいると思います。
【窪田】日本人同士とか日本を理解しきった相手とは生まれてこないような、まったく新しい価値が生まれる可能性が十分ありますよね。それはお金に替えられない価値というか、ものすごく大きな価値の創造につながりますからね。
【田中】おっしゃるとおりです。実は私は英語があまり得意ではありません。しかし、たとえ英語は話せなくても、グローバル企業をめざすという思いはあるのです。志があれば、共鳴してくれる外国の企業、外国の人、もちろん日本の企業も集まってきてくれるわけです。バッグの開発や、メガネの開発でも最初はそうでしたから。できるからやるというよりは、先がわからなくてもやろうという思いが一番強いですね。例えばメガネの小売業でR&D(研究開発)部門を有しているのは、世界でも弊社だけだと思います。多くはライセンスビジネスでブランド品を仕入れて売るだけの業態ですから。