「口腔ケア」で誤嚥性肺炎を防ぐ

ところで、肺炎球菌ワクチンは接種から5年以上経つと効力が低下するため、日本感染症学会は、65歳以上や心臓や呼吸器などに疾患のある人で5年以上経過した人の再接種を推奨している。しかし、前述のように今回の定期接種化は初回の人のみで再接種の人については、今後検討するという。市区町村によっては再接種の人に対しても独自に公費助成を行うところもあるものの、一般的には再接種は自費で負担感が高いのが難点だ。

なお、肺炎にはほかの原因もあるため、肺炎球菌ワクチンを接種したからといって、全ての肺炎が100%予防できるわけではない。冬だけではなく年中発症する病気なので、時期を問わず、手洗い、うがい、インフルエンザなどの感染症が流行っている時期には人込みを避ける、といった一般的な感染症対策をしっかりすることも大切だ。

また、もう一つ、高齢者に多い誤嚥性肺炎を予防するために非常に重要なのが「口腔ケア」だ。誤嚥性肺炎は、歯周病菌などの細菌が唾液や食べ物と一緒に肺に入ることによって起こる。食事中に誤って食べ物が気道から肺へ入ってしまうイメージがあるかもしれないが、誤嚥性肺炎は、寝ている間に本人の自覚なしに唾液と共に細菌が肺へ入ることによって発症するケースも多いという。

むし歯や歯周病は治療し、歯、歯肉、舌まで磨く口腔ケアをきちんと行っている人は、していない人より肺炎発症率が低いとのデータもある。入れ歯にも細菌がつきやすいので、入れ歯の手入れも大事である。特に、具合が悪くて食べられないときほど、口の中に細菌がたまりやすく誤嚥性肺炎も起きやすい。食事がとれないときでも歯を磨き、口の中の清潔を保つようにしよう。

それまで元気で働いていた人が肺炎で命を奪われることもあるので、65歳以上になったらワクチンを上手に使って予防を心がけたいものだ。