――社長として何をやるか。

【浅野】研究開発と経営は基本的には同じ。現状を把握して将来を見通し、次に何をやるか決める。ダメな場合は撤退する。ヘルスケア事業の旭化成ファーマの社長に就いたのは4年前だが、研究開発と同じスタンスで経営してきた。いまはバックグラウンドの異なる多様な部門の担当役員や、これまで付き合いのなかった業界の人たちから話を聞くのが楽しみだ。これらをヒントに経営の変革に挑みたい。

旭化成は2012年、米国の救命救急医療機器大手ゾール・メディカルを約1800億円で買収した。M&Aは技術や製品だけではなく、研究開発者、営業マンなどの人材も獲得できる素晴らしい手段だ。結果として優秀な“仲間”が集まった。今後も国内外を問わずM&Aを検討する。同時に各事業の新陳代謝と相乗効果を図り、旭化成が将来より成長・発展できるような事業構造にして次の世代にバトンを渡したい。それが私の最大の責務だ。

旭化成代表取締役社長 浅野敏雄
1952年、富山県生まれ。75年に東京大学薬学部を卒業、旭化成工業(現・旭化成)へ入社。2001年ライフサイエンス総合研究所長。旭化成ファーマ執行役員を経て10年同社社長。11年から旭化成執行役員を兼務し、14年4月旭化成社長。同年6月から代表取締役社長。薬学博士。

出身高校:富山県立高岡高校
長く在籍した部門
:医薬品の研究開発
座右の書(または最近読んだ本)
:加島祥造著『求めない』『受いれる』
座右の銘
:仁
趣味
:ゴルフ、読書

(中村芳平=構成 ミヤジシンゴ=撮影)
【関連記事】
みずほ銀行新頭取「ガバナンス強化」
旭化成の結論「会社は従業員のもの」
「必ず出世する」人生哲学はあるか
一流の男と二流の男はどこが違うか
今こそ経営学を学ぶべき3つの理由