世界のトマト消費量を見ると、平均が年間1人当たり約20キログラムであるのに対して、日本では9キログラムと倍以上の差がある。これは日本ではトマトをサラダとして生で食べることが多いのに対し、海外では煮込み料理の「だし」として使うことが多いためだ。食文化の多様化や西洋化が今後さらに進んでいけば、日本の消費量もいずれは世界平均に近づいていく――それが彼らの基本的な認識である。全国に11カ所ある大型施設での生産を筆頭に、カゴメは年間60万トンの生食トマトの需要のうち1万4000トンを生産しているが、彼は「まずこのシェアを10%にまで高めることを当面の目標としている」と続けた。
「全社で約1930億円ある売り上げのうち、生鮮事業はまだ5%程度の規模に過ぎません。これを8年後までに400億円の規模に引き上げたい。このうち生鮮トマトが270億円。残りはトマト以外の野菜です。すでに他社との資本業務提携も進め、ベビーリーフやニンジンの生産を始めています。ほかの野菜にもカゴメのブランドを拡げていきたいと考えています」
(文中一部敬称略)
(遠藤素子=撮影)