ナガノトマトはカゴメ、デルモンテにつぐ業界3位のケチャップ、トマトジュースメーカーである。売り上げは約225億、社員数は約400名。主力商品のトマトケチャップは食品業界の勲章、モンドセレクションで最高金賞(2007年)を受賞している。

早朝にもかかわらず、焼けつくような暑さ。「休み明けののんびりした空気も吹き飛びます」(参加者)

早朝にもかかわらず、焼けつくような暑さ。「休み明けののんびりした空気も吹き飛びます」(参加者)

本社は長野県松本市の郊外にあり、その近くにはトマトの試験農場がある。同社の社員は7月から9月の月曜日になると試験農場に集まり、朝礼を行う。つまり、畑のなかの朝礼だ。

私が見学した8月の2週目は雲ひとつない上天気で、トマト畑の背後には日本アルプスが姿を見せ、周辺にはひまわりが黄色の花を咲かせていた。

「おはようございます」

午前8時30分。司会の井垣孝夫常務のあいさつから朝礼は始まった。畑には日陰はなく、20人の出席者には容赦なく強い日差しが降り注ぐ。

「今日は朝礼の後、みんなで試験農場のトマトをもいで味をみてみましょう」

夏期以外の朝礼は本社のオフィスで行われ、10分程度のものだ。だが、畑ではトマトの発育や収穫状況が発表されるので、全体で30分ほどになる。

・企業理念の唱和

・トマトの発育状況
今年の夏は雨が少なく糖度の高いトマトになったという発表があった。

・契約農家の状況
ナガノトマトでは国産トマトだけのケチャップ、ジュースを発売している。その栽培農家からは「トマトは順調に育っている」との報告があった。

いよいよ、試食である。畑にあったのは愛果と呼ばれる同社が開発した加工用トマトで、真っ赤な中身が特徴だ。かじってみたら、酸味は少なく、うまみを感じた。もぎたてのトマトはジューシーで甘い。朝礼よりも試食のほうが楽しい。

次回はなぜ、畑で朝礼を行うことにしたのかを同社の中村仁社長に聞く。

(木下徳康=撮影)