トマト畑での朝礼を発案したのはナガノトマト社長の中村仁氏だ。

大手メーカーと比べると、ナガノトマトのものは酸味が少なくうまみが多い。苦手な人にもおすすめだ。

大手メーカーと比べると、ナガノトマトのものは酸味が少なくうまみが多い。苦手な人にもおすすめだ。

「畑のなかで朝礼を始めたのはふたつの理由があります。ひとつは社員にトマトがなっている姿を見てもらいたかった。事務や営業の社員のなかには畑にあるトマトを見たことのない人もいます。もうひとつは成長するトマトから元気をもらうこと。トマトは種から大きな実になるまでわずか2カ月しかかかりません。夏の日の光を浴びてぐんぐん育つのがトマトです。畑に行けば元気なトマトから気をいただくことができます。自分たちも元気になる」

トマトは健康野菜だ。「トマトが赤くなれば医者は青くなる」とか「トマト畑のそばでは医家は経営できない」といった言葉もあるくらい、体にいい野菜なのである。

ナガノトマトが行っている「畑の朝礼」で司会を担当している井垣孝夫常務は国内産トマト100%のジュース(「信州生まれのおいしいトマト」)を毎日、欠かさず飲んでいる。そのため、「病気ひとつしません」と自慢していた。海外から輸送してきたトマトジュースは濃縮果汁だから、どろっとした味がするけれど、国産トマトのジュースは搾りたてだから、さらっとしている。それで、毎日でも飽きずに飲むことができるのだろう。

さて、畑の朝礼では、同社の社員がさまざまなスピーチをした。そのなかで、心に残った言葉がある。

「私は東京での営業が長く今年初めてトマト畑の朝礼に出ました。信州の朝の8時だから涼しいんだろうと思っていたら、とんでもない。強烈な日差しで、立っているのがやっとです。毎日、トマトを収穫している契約農家の方々のご苦労がよくわかりました」

朝礼はエアコンの効いたオフィスだけで行うものではない。現場へ出ていって、製品の成り立ちに思いをはせることも朝礼のひとつの役割だろう。

(木下徳康=撮影)