アサヒビール名古屋支店はJR名古屋駅上のセントラルタワーズにある。40階のフロアは名古屋市街を一望に見渡すことのできる気持ちのいいオフィスで、そこには中部統括本部に属する160名の社員が働いている。そのうち名古屋支店の営業マンは13名。責任者は支店長の倉地俊典氏だ。

午前8時45分になると、チャイムが鳴り、ラジオ体操が始まる。自主参加が建前だけれど、連日のビール営業で身体を酷使している営業マンはほぼ全員参加する。そして、9時からはフロア全体の朝礼だ。

自由参加にもかかわらず、ほぼ全員がラジオ体操に参加。営業部隊らしく、フロアには神棚が。

自由参加にもかかわらず、ほぼ全員がラジオ体操に参加。営業部隊らしく、フロアには神棚が。

全体朝礼は全員起立して行い、内容は朝のあいさつ、業務連絡、1分間スピーチと実にシンプルだ。司会は「朝礼当番」の社員が行い、1分間スピーチも当番が担当する。朝礼当番に選ばれるのは異動してきた社員が多く、スピーチの内容も自己紹介を兼ねたものが多い。全体朝礼の所要時間は10分程度。

全体朝礼が終わると、セクションごとの朝礼が始まる。名古屋支店の営業活動はビールや焼酎を業務店に売り込むことだ。朝礼では、業務連絡のほかに、前日に訪れた飲食店主人との会話を報告したりもする。

私が見ていたら、倉地支店長は部員の営業トークに注目していた。部員が発表すると、その内容について、するどい質問を投げかけるのだ。

「さっき、うちのビールについて説明したと言ったけれど、どういった表現で『説明』したのか、ここでやってみて」などと、詳細に注意するのである。

倉地支店長は営業トークについて、こう語った。

「営業マンにとってトークは大切です。私は朝礼やミーティングでは部下の営業トークについて、厳しくチェックしています。それを『トーク磨き』と呼んでいます」

次回は「トーク磨き」の中身について、詳しく検証したい。

(山口典利=撮影)