伊那食品の始業は午前8時20分。朝礼もその時間に始まる。しかし、社員たちは始業の少なくとも30分前には集まり、3万坪の敷地全体を清掃している。朝礼の前に掃除をする会社はいくつもあるが、それは本社近くの道路を掃いたり、ごみを集めたりする程度だ。それに比べると、伊那食品の場合は過酷というか本格的な環境整備である。ほうきやちりとりといった装備では心もとないから、ガソリンエンジンで動く草刈り機、電動式の落ち葉集め機、小型のブルドーザーに似た「スイーパー」といった造園会社が使うような機器が登場する。

掃除は本格的。冬、休日でも降雪があると社員の有志が出社して雪かきを行うという。

掃除は本格的。冬、休日でも降雪があると社員の有志が出社して雪かきを行うという。

そういった完全装備で毎朝、30分以上も社員が清掃を行うのだ。広い敷地ではあるけれど、業者に任せることをせず、すべて自分たちで行う。

(木下徳康=撮影)