――銀行から離れてJCBの舵取りを任された。どのような成長戦略を描いているか。

【浜川】柱は2つある。1つは、われわれのホームグラウンドである国内でナンバーワンの存在感を発揮すること。

2012年時点で、日本のカード決済比率は18.5%。アメリカは約27%で、日本もそれに近いところまで広がっていく。現金決済が減る中で、お客様のニーズをしっかりと考え、価値あるカードをつくっていくことが大切だ。

もう1つの柱は、アジアだ。カードは一人あたりGDPが3000ドルを超えると普及していく。成熟したマーケットより、これから広がっていくアジア市場のほうが入りやすい。今後は中国・韓国・台湾だけでなく、東南アジアにも力を入れる。全会員のうち約3分の1を海外会員にすることが目標だ。

カード業界は、相対性の強い銀行と違って、マーケティングが大きな効果を持つ。銀行出身の私にとっては、新しい挑戦。やりがいを感じると同時に、とてもわくわくしている。

JCB代表取締役兼執行役員社長 浜川一郎
1956年、京都府生まれ。78年京都大学経済学部卒業、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。2006年三菱東京UFJ銀行執行役員、09年常務執行役員、11年三菱UFJフィナンシャル・グループ常務執行役員、同年同社常務取締役、12年同社専務取締役を経て、14年6月より現職。

出身高校:甲陽学院高校
長く在籍した部門
:企画・人事部門
座右の書(または最近読んだ本)
:『競争の戦略』
座右の銘
:退一歩 天空海闊
趣味
:読書と散歩

(村上 敬=構成 門間新弥=撮影)
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