総理を選ぶのは党員の投票で
とはいえ、自民党員は総裁、つまり総理を選ぶ権利を有していることからも、影響力は大きいと言わざるをえません。総裁選の直近2年間、党員でいることが投票の条件と規定されていますが、党費さえ支払えばすぐに投票できるようないい加減な地方もあります。極端な話、4000円納めれば票が買える。確認もないので、架空の名前で何人も党員となることもできる。すると、ある目的を持った組織が大量に自民党員になって、総裁選をコントロールするということもできなくはありません。そういう危険性を孕んでいます。
先ほども述べましたが、今の国会は自民党の一人勝ちのように見えますが、その足腰は非常に弱っています。世代交代が進んでいないのです。
実はこれ、日本の地域社会と重なる部分です。地域活動の担い手も、高齢化によって数が減っています。自民党員が一気に減れば、政治は大きく変質する可能性があります。ただ依然として、旧来のムラ社会型の政治は続いていますし、しばらくはこのままの状態でしょう。そこから誕生した政治家に対して、たとえば教育や福祉の課題を何とかしてほしいと思っても、それは端から無理な注文です。もとより念頭にないのですから。これでは世の中は何も変わりません。
では、私たちはどうしたらいいのか。選挙に行って「この人だ」と思う候補者を、自分の判断で選ぶしかありませんが、とても難しいですね。
私自身、以前は自民党議員としてムラ社会の中にどっぷりと浸かっていたので、よくわかるんです。
(構成=青柳雄介 写真=時事通信フォト)