政治家とはお祭り要員のこと

では、何が大事なのか。地元の行事や冠婚葬祭に出席するかどうかなのです。都心であれ、地方であれ、「おらが地元の代表」なので、そこが評価の対象となっている。つまり、政治家ではなく「お祭り要員」を求めているのです。政治理念や政策などが投票に影響を与えることはほぼない。行政の問題点が何年たっても一向に改善されないのは、ここに原因がある。市区町村の長も議員も、何期にもわたりほとんど顔ぶれが代わりません。いかに自治体の課題を改善し、行革を実行するか。多くの国民はそこに期待します。が、実際に選挙で影響力を行使して議員を輩出させることのできる自民党員は、そんなことは考えないのです。

たとえ都心でも、ムラ社会ですから、人と違うことはしたくない。だから、地域で推している候補者に人は乗るわけです。

自民党の強さとは、まさにこの一点だけにあると言っても過言ではありません。曖昧で日本的な強さかもしれませんが、それ故に日本の政治は、いつまでたっても変わらないのです。

もう一つ、あまり知られていませんが、驚くべき事実を紹介しましょう。

首都圏のある地域では、自民党員が平成6年に2000人ほどいました。それが約10年後の平成15年には1000人弱と半減し、23年になると600人あまりになってしまった。新しい党員はあまり増えず、顔ぶれは代わらないまま党員が高齢化し、自然減となっているのです。

ただ、統一地方選挙がある年だけは一時的に増加します。なぜならば、自民党の公認を得るための「党員を100人集めろ」などというノルマがあるためです。そこで候補者は、知人に名前だけ借り、党費は自腹で支払って「自民党公認候補」の称号を得るのです。

これには、カラクリがあります。自民党の党費は1人年間4000円、家族党員は2000円。夫婦と子供2人に入ってもらうと、4人で1万円となる。これを25家族分集めると100人になり、25万円かかります。ですが公認が得られれば、公認料としてそれとほぼ同額が党から支給され、自腹を切った分がほぼ相殺される仕組みになっているんです。ですから、統一地方選のある来年、自民党員は必ず増えます。メディアは、「自民党、党員数回復」などと報じるのでしょうが、それは翌年、必ず減ります。先の地域の例では、この17年で70%も党員が減少しています。現在の地域党員の平均年齢は80歳前後と思われますから、今後5年から10年もすると、結果として党員の8割、あるいは9割近くが自然減となるでしょう。このことは他の地域でも同じような状況で、やはり減少傾向にあります。平成3年のピーク時に全国で547万人いた党員が、現在はわずか78万人しかいない。すでに8割5分減、激減です。