6つ目の「動作のムダ」とは、付加価値を生まない動きです。たとえば、あまり使わない資料を机の上に置き、よく使う資料を取り出しにくい引き出しの底に入れていると、恒常的に動作のムダが生じてしまいます。

少ない動きですむようモノの配置を考えれば、動作のムダを防げます。

最後の「不良・手直しのムダ」は廃棄が必要なものや、修正ややり直しが必要な仕事のことです。これを放置しておくと、何度も同じミスを繰り返すことになってしまいます。

一度発生した誤りを二度と繰り返さないよう、手法を標準化することが大切です。ただしミスの防止に熱心になるあまり、チェック機能が過剰になるケースが少なからずあるので注意が必要です。

以上の7つのムダを意識して減らすだけでも、時間当たりのパフォーマンスは明確に向上するでしょう。

Q: 生まれた時間はどう活用すべき?

従来、1日8時間かけてやっていた仕事を6時間でできるようになれば、2時間の余裕が生まれます。この2時間を遊ばせてしまったらムダとりの意味がありません。

多くの企業で業務量が増える一方、人員はあまり増やせない状況があると思います。ムダとりで生み出した時間はそうした状況への対応だけにとどまらず、前述した「付加価値のある遊び」にあてるとよいでしょう。

つまり、短期的にはムダに見えるかもしれないが、長期的には生産性の向上に貢献するような事柄に使うのです。たとえば長期的な構想を考えたり、学習やスキルアップに挑戦したり、人材育成に取り組んだり。ムダとりで創出した時間をどう使うかが、実は勝負の大きな分かれ目になるのです。