では、大法螺を信じ込ませるにはどうしたらいいか。

同じ話を、耳にタコができてイカになるくらい言い続けるのである。明けても暮れても言い続け、「あの人、ほんとにそう思っているんだな」と思わせる。1回しか言わないで伝わるわけはない。いっぺん言い出したら、ことあるごとに言い続ける。まずはこのことである。

社内では研修会、昼食会などあらゆる機会をとらえて「京都一高い本社ビルをつくる」「2010年に1兆円」と言い続ける。繰り返し繰り返し、十分に浸透するまで言うのである。

そしてもうひとつ大事なことは、わかりやすい話し方をするということだ。私は以前「パートのおばちゃんでもわかるように話す」と言ったことがある。要するに、誰でもすぐにわかるやさしい言い回しをするということだ。私は世界中の友人から英文の手紙をもらうが、地位の高い人ほど、私が辞書を引かなくても読めるやさしい英語で書いている。

また、話をわかりやすくするためには、具体例をちりばめることも必要である。

(06年1月16日号当時・社長構成=面澤淳市)

平日でも最低100本、週末になると200~300本のメールを打っている。メールはパソコンや携帯情報端末があれば簡単に打てるし、すぐに届くという圧倒的な便利さがある。私がメールを活用しているのはそのためだ。ただ、メール頼みのコミュニケーションには、細かな情報、深い感情を伝えきれないというもどかしさもある。たとえば、手書きの時代なら文字の書き方を変えるとか、ちょっとした図や絵を加えることで私自身の怒りや喜びをストレートに表現することができた。テキストだけのメールではそれが難しいのだ。そうはいっても、テキスト主体のメールに臨場感を持たせることはできる。

ひとつは、ここぞという場面で口語体を使うことだ。私の場合は、そこへ京都弁を織り交ぜるようにしている。営業報告への返信メールに「よう頑張ってくれたなあ、おおきに」とあれば、心にじんと染み入るはずだ。礼状を出すときも「結構なリンゴを頂戴しありがとうございました」と切り口上を並べるだけでは、お礼の気持ちは伝わらない。残念ながら手元に届く100通のうち99通はこのスタイルだ。私の場合はどうかというと、秘書がつくった定型文書に必ず一筆付け加えるようにしている。たとえば「今年はいただいたリンゴでアップルパイをつくってみましたが、たいへん美味でした」と書く。相手の気持ちを掴むには、この一言が大切なのだ。