ベストなのは全体が共有名義
このように、私道に面した宅地にはリスクが伴う。仲介業者に聞くなりして、自分に私道の所有権があるのか、私道の所有形態がどうなっているのかを、念入りに確認しておくべきだ。その私道の所有形態には、主に図のようなパターンがある。
まず、(1)私道を一人で占有しているケース。土地を分譲したもともとの地主が所有者である場合が多い。次に、(2)私道の土地を分筆して、私道を利用する各戸が所有するケース。この場合、自宅の前の部分ではなく、自宅から離れた部分を所有し合うこともある。なぜなら“相身互い”の関係にすることで、所有者同士のトラブルを回避するためだ。さらに、(3)各戸の持ち分を定めて、私道全体を共有名義にすることもある。分譲マンションの共用部分の所有形態に似ている。
この例では「(3)→(2)→(1)」の順で物件を選ぶといいだろう。
(1)は何をするにも地主に許可をもらわなければならず、自由がきかない。インフラ整備などのコストがかさみやすく、地主との相性が悪ければ、生活に支障をきたしかねない。(2)のケースも、私道に新しく水道管やガス管を引こうとしたら、各戸に承諾を得なければならない。隣近所の顔ぶれが変わって折り合いの悪い家が生まれ、嫌がらせで拒否されてしまうこともありうる。その点、(3)は所有者同士の話がまとまりやすく、トラブルが起こりにくい。
なお、私道に面した宅地を新築用に購入する場合、上屋つきの中古物件ならば更地にして引き渡してもらうようにしたい。そうすれば、私道と家の間で、水道やガスの配管がどうなっているのかが事前にわかるうえ、地中から産業廃棄物など“ドンガラ”が出てきた場合に撤去や処分を売り主に求めることができる。
大手不動産会社営業マン 三住友郎
これまで2000件以上の土地・不動産の売買の実績を持つトップ営業マン。不動産に関する「抜け道」のエキスパートでもある。
これまで2000件以上の土地・不動産の売買の実績を持つトップ営業マン。不動産に関する「抜け道」のエキスパートでもある。
(構成=野澤正毅)