表を拡大
敷地面積30坪の土地にどんな家が建つか?

土地は、一般に「商業地域」「第一種低層住居専用地域」といった「用途地域」が指定されて、それに伴って「建ぺい率」や「容積率」がそれぞれ決められている。建ぺい率は、土地の敷地面積に対する建物の一階部分の建築面積(いわゆる「建て坪」)の割合のこと。一方の容積率は、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のことだ。たとえば通称「ヨンパチ」といわれる、建ぺい率40%、容積率80%の場合、表のように30坪の土地であれば、建て坪12坪、2階の床面積が12坪という延べ床面積24坪までなら建てられる。

一戸建て住宅を新築する場合、購入した更地に建てるだけでなく、土地つき中古住宅を買い取って建て直すことも多い。その際に注意しなければならないポイントが、この建ぺい率と容積率なのだ。それというのも、いま目の前に建っている中古住宅が、決められた建ぺい率、容積率をオーバーしていることがあるからだ。そうなると、同じくらいの大きさの家に建て直そうと思っていたのに、計画が狂って小さなスペースの家しか建てられないということもありうる話なのだ。

そんな馬鹿な話があるのかと疑問に思う人がきっといることだろう。しかし、不動産の仲介に長年携わってきた私の経験からすると、そうしたケースはわりとよくある。

かつては東京でも郊外だと、建ぺい率30%、容積率60%という住宅地域も少なくなかった。しかし、土地が狭かったりすると、その基準に従っていては小さな家しか建てられない。そこで確信犯的に規制を破るケースが後を絶たなかったのだ。役所に提出する図面と、実際に建てる図面を初めから2つ用意するようなことも珍しいことではなかった。役所や金融機関の審査も甘く、違法建築の住宅でも簡単に建てられたり、住宅ローンを借りられたのだ。