「アイスクリーム市場」最新トレンド【1】ノスタルジック消費・ごほうび需要

1個420円！「プレミアムアイス」は2ケタ増

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アイス市場は右肩上がり

実はアイス市場の販売金額は増えているが、販売個数は横ばいだ。つまり単価が高いものも売れている。コンビニアイス評論家のアイスマン福留さんはこう解説する。「とくにセブン－イレブンは高価格帯の商品が多い。ゴディバと提携したアイスは1個420円。ここまでいかなくても、コンビニでは200円前後のアイスが売れています」。

セブン－イレブン・ジャパンの宮賢二さんも「プレミアムアイスは一昨年、昨年と拡大したのに続き、今年も前年比二ケタの伸びです」と説明する。

セブン－イレブン・ジャパン シニアマーチャンダイザー 宮 賢二

消費者調査で購入理由を聞くと、夏は「暑さしのぎ」が最も多いが、それ以外に「自分へのごほうび」「癒やし」「気分転換」といった回答が上位にくる。ごほうび需要として人気なのが「ハーゲンダッツ」（84年発売）だ。ブランド全体の売上高は400億円を超える。

「北海道の根釧地区の乳という強い味わいの主原料を用いており、それに負けない副原料で味をつくり出すのがブランドのこだわりです。お客様から求められるのは『食べて幸せになりたい』『リフレッシュしたい』といった情緒的な面も大きい。会社とのつながりや、上司や部下の濃密な関係も薄れ、自分の時間を楽しむ風潮が強まりました」とハーゲンダッツジャパンの大熊康浩さんは語る。

84年、東京・青山に直営店を開店して行列文化を起こしたハーゲンダッツも、昨年で直営店を閉め、一般小売りに特化した。独立独歩路線だった同社が組んだのがセブン－イレブン限定「ジャポネ」だ。昨年10月に発売した「抹茶アズキ」に続き、6月24日に「バニラ＆きなこ黒蜜」（いずれも税込みで360円）が発売された。

プレミアムアイスは利益幅が大きいだけでなく、もう一つ利点がある。「夏場の売り上げが圧倒的な氷菓系とは違い、春夏と秋冬の売り上げ差がほとんどないのです」（前出・宮さん）。

業界が提唱してきた「冬アイス」という訴求が、この分野でひと足先に受け入れられている。