国内外でカルテルが次々と摘発されているのをご存じだろうか。カルテル防止を担う独占禁止法の運用機関が、公正取引委員会である。この「経済憲法」の番人は、何を考えているのか。包まれたベールが今明かされる。
※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/13045)
転嫁拒否が疑われる企業の検査を増やす
――中国が独禁法を制定して数年になりますが、パナソニックが三洋電機との合併でクレームをつけられるなど、日本企業は審査体制のあり方に不満を高めているようですが。
【杉本】中国の独禁当局は、実は3つあるんです。価格カルテルは国家発展改革委員会、企業結合(合併など)は商務部、その他の競争政策が国家工商行政管理総局と3つに分かれていて、それぞれ別々に審査する仕組みになっています。今、日本企業から聞こえてくる声は、合併などの審査に関して、かなりの時間がかかるとか、そのまま放置されてしまうとか、いろいろな条件が付けられてしまうといったことだと思います。
審査には国際基準みたいなものが存在していて、中国も一応、何日かで審査しなければならないという指示には従おうとしています。でも、「まだ書類が足りない」とか、そういうクレームで長引いているケースがあるようです。国際基準に沿ってやりましょうとなっても、実際の運用となるとなかなかそうなっていないところがあると思います。最近、中国も簡易手続きという制度を導入し、中国市場に大きな影響を及ぼさない企業合併については簡易手続きでやりますということになっていますが、それがどう実際に運用されているかはまだわかりません。