自己開示されると、人はなんだかうれしい

下手な勧誘員は「健康」に関心があると知ると、こうストレートな質問を投げかけてくる。

「お体で心配なことがあるのでしょうか?」

それに対して、上手な勧誘員は次のように切り出す。

「このところ、寒いですね。私も40歳を前にして、体の節々が痛くて、困っています」

自分の事情から話すのだ。

すると、相手も同じ悩みを持っていた場合には「私も最近、腰が痛いですね」と答える。

そこで勧誘員はすかさず質問をする。

「腰が痛いとつらいですよね。病院には通われていますか?」
「ええ」
「もしかして、ヘルニアか何かですか?」

と言った具合だ。

また、相手が心を開き、「最近、胃の調子もよくなくてね」と言おうものなら、こう返す。

「わかります。私もちょっと緊張すると、胃が痛くなってしまうことがよくありますよ……」

ここでは、健康をキーワードにしながら、お互いに自らの小さな秘密を相手に打ちあけながら、しだいに心の距離を縮めているのである。